fiction1



不気味ほど静寂に包まれ陽の光さえ満足に届かない深い森で

俺は独り、足を進める。より深い森の奥を目指して。


此処は迷いの森。もう帰る場所なんてない。

最早どっちが奥なのかもわからない。


何も感じることなく、意味もなく終わっていった1日1日のように、

意味なんて何も見いだせることなく1つの人生が此処で終わるのか?


他の誰でもない、これが俺が選んだ道なのだからと言い聞かせて。


ただこんな人生、望んでいなかった筈だ。



恐怖心や安堵感が入り混じった言い表せない感情に支配されていく。

気付けば過去を回想してる。思い出したくもないのに

これが走馬灯か?必死に頭に浮かぶ「想い出」を押し殺す。


やがて陽は暮れ、辺りは静寂に加え闇にも包まれる。

相も変わらず俺の心は過去の回想にいる。


其処は優しい世界。

これは過去ではなく、過去から分岐した

現実とはまた違う。

これが望んだ、叶うことのない理想の世界。


それに気付いて我に返った俺はまたそれを押し殺す。


闇に包まれたはずの世界に光が射す。

暮れていた陽がまた昇ってくるようだ。


そこに何の感傷も抱けない。


いつの間にか意識が薄れ、景色が遠くなっていった。


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